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鳳明館の金魚物語 ― 夏を彩る、小さな語り部 ―


しばらくご無沙汰していた鳳明館ブログ。

これからも鳳明館をめぐる色々な話題を、少しずつご紹介していきます。


再開最初の記事は、夏の風物詩・金魚のお話です。

鳳明館で初めて金魚を飼い始めたのは、コロナ禍による休業後、営業を再開した頃。早いもので4年ほどたちました。

鳳明館の金魚たち。それぞれに、地元・文京区本郷の歴史や、人とのご縁にまつわる小さな物語があります.


庭池に金魚?

   台町別館 庭池 ボウフラ退治役 和金
   台町別館 庭池 ボウフラ退治役 和金

                              

台町別館の大きな庭池で鯉に混じって暮らしているのは、実は金魚です。

そもそも金魚を飼い始めた理由は、観賞用ではありませんでした。

休業中、池の水漏れのため、それまで暮らしていた鯉を地元の金魚・錦鯉問屋「金魚坂」へ預けることに。魚がいなくなった池の蚊の幼虫、ボウフラ対策として、営業再開時に、その「金魚坂」から10匹ほどの和金を迎えたのが始まりです。

金魚を連れてきてくださったのは、改修に向けた木造建築調査に携わっていた設計士さんでした。



広い池で暮らし始めた金魚たちは、すくすく成長。中には、

「これ、本当に金魚?」

と思うほど、小アジのような立派なサイズになった金魚も。

さらに翌年には子どもたちも増え、池の中はいつしか――

「金魚の学校」状態に。 



たくさんの金魚が一斉に泳ぐ賑やかな光景を眺めていると、修学旅行の学生さんたちで賑わっていた頃の鳳明館を、ちょっと思い出します。

その後、池には再び鯉が仲間入り。

大きくなった鯉が幅をきかせているのか、何世代目かの金魚たちは小さなグループとなり、鯉と一緒に控え目に暮らしています。

※現在、改修工事準備のため、修学旅行などの団体宿泊は受け付けておりません。


地域の歴史 ― 「金魚坂」とのご縁

     金魚卸・小売店だったころの「金魚坂(吉田晴亮商店)」
     金魚卸・小売店だったころの「金魚坂(吉田晴亮商店)」

鳳明館の金魚物語にかかせないのが、地元・本郷の老舗 金魚商「金魚坂」です。

その歴史は、江戸時代、約350年前にさかのぼるようです。かつてこの辺りには川が流れ、大きな池があり、その池を養魚場として金魚を育て、その後、卸問屋になったとか。カフェとして移転するまでは小売や金魚すくいもあり、地元の人々に親しまれてきました。


   らんちゅう品評会の番付表(明治22年 1889)
   らんちゅう品評会の番付表(明治22年 1889)

明治時代、鳳明館 本館が下宿として創業する約10年前には、4代目がらんちゅうの品評会を開催。「金魚坂」には番付表が残されています。

本郷にこんな金魚文化の歴史があったことを知ると、鳳明館の金魚たちは、ちょっと特別な金魚に感じます。


坪庭の金魚も「金魚坂」育ち

                森川別館の坪庭 観賞用コメット


森川別館の坪庭で暮らすコメットも、営業再開時にこの「金魚坂」からやってきました。

長いひれをなびかせて泳ぐ姿がとても優雅です。

ネットを掛けたり、酸素を入れたり、水草を加えたり。スタッフに大切に育てられ、こちらは満4歳になりました。


そして、ここにはもう一つ、ちょっと面白い歴史の偶然があります。

現在の東京大学本郷キャンパスには加賀藩の江戸屋敷があり、「金魚坂」の金魚が納められていたそうです

森川別館の建つ場所は、江戸時代には徳川四天王の一人・本多忠勝を初代とする本多家の江戸屋敷があったところ。

加賀藩前田家ゆかりのある「金魚坂」からやってきた金魚が、本多家ゆかりの地で泳いでいる――。

もちろん両者に直接の関係がありませんが、こんな思いがけない「大名つながり」は鳳明館の金魚ならでは。


人とのご縁 ― 地域団体&大学

  金魚すくいの和金 
 金魚すくいの和金 

森川別館には、もう2匹、ちょっと違うプロフィールの金魚がいます。

こちらは「金魚坂」育ちではなく、夏祭りの金魚すくい出身。

文京区立不忍通りふれあい館の夏祭りで、文京建築会ユースの大学生メンバーがすくってきた2匹です。

文京建築会ユースは、鳳明館の建物や歴史を紹介する活動など、さまざまな形で鳳明館をサポートしてくださっている地域の建築関係者等による団体です。

この大学生メンバーは、ユースの活動でも鳳明館ツアーのガイドを務めたり、大学研究室の鳳明館調査プロジェクトのサポートをされるなど、鳳明館と深いつながりがある学生さんです。

この2匹は一緒に泳いでいることが多く、とても仲良し。

その姿を眺めていると、鳳明館で和気あいあいと活動していた文京建築会ユースの学生メンバーの姿がふと重なり、楽しい気持ちになります。


夏を彩る、小さな語り部

「金魚坂」からやってきた、台町別館と森川別館の金魚。

そして、文京建築会ユースの学生メンバーとのご縁でやってきた金魚。

鳳明館の金魚たちは、夏の納涼役、そして色々な物語を伝える小さな語り部として

元気に活躍しています。


参考資料:

日本政府広報オンライン 『金魚を350年伝える店』


reLIFE 『 創業350年。江戸の文化を紡ぐ「金魚坂」』


金魚坂 看板写真 teniteo 【東京・文京区】金魚に囲まれた休日を過ごせる「金魚坂」


 
 
 

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